大島東市の話(その3)

その崔朝栄とは中学で別れて20年経っています。士郎がUターンで故郷に戻り赤ひょうたんの止まり木に羽を休めていた時舞鶴中学校の学年同窓会がありました。

顔ぶれの中に懐かしい崔朝栄の顏があり明らかに堅気と違う空気の崔が女性陣の注目を引いております。一緒について行った二次会の席でも酒が入り賑わいの中心に崔の姿がありました。この20年間朝鮮人2世としてどうやって生きてきたのか興味が尽きませんでした。

この再会からしばらくして「赤ひょうたん」に大きな身体を現しました。律儀な男です。派手な外車で運転手が「へいこら」して送って来ました。

中洲若子も崔朝栄を良く覚えており、崔が「お母さんの作ってくれたカボチャと小豆のいとこ煮は実に美味かった」というと崔をウットリ見つめながら「崔君の食べっぷりは小さい時から今も色気がある」などと訳のわからんことを言っています。

店の板前も崔の雰囲気に惚れ惚れして「崔さんは本当に士郎さんの幼馴染ですか」と侮辱的な言葉を吐く始末。崔、カウンターの中で小さくなっている士郎に目をやり「士郎、何かあったら何時でも俺を訪ねろ」と囁きました。

そんな事があって大島の呼び出しを受けた時、まず崔朝栄に相談することにしたのです。

赤ひょうたんに彼が姿を出して1年経っておりました。

天神の岩田屋で待ち合わせしました。親不孝通り近くの彼のオフィスマンションに向かって肩を並べて歩きます。小学校の時は士郎にとって兄貴みたいな存在でしたので一緒に歩を進めるとその懐かしい気分が舞い戻ってまいります。

がっしりした躯体から発する明るいオーラには野生的な匂いがあります。

世にイケメンで女性にモテる男は沢山いるが逞しい野獣の牡が雌を引き付けるモテ方は士郎の世界では余り目にしません。途中パチンコ屋から出て来た可愛い店員らしい娘も崔に嬉しそうに挨拶をします。朝栄の奴「この娘とも寝たな」笑って士郎に教えます。

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